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関係人口とは?交流人口・定住人口との違い、増やす方法と事例を解説

人口減少や高齢化が進む地域では、地域活動や産業を支える担い手の確保が課題になっています。しかし、移住者を増やすだけで、すべての課題を解決できるわけではありません。

そこで注目されているのが「関係人口」です。

関係人口とは、移住して住民になるわけでも、一度観光に訪れるだけでもなく、特定の地域と継続的に関わる人々を指します。

国土交通省が2025年6月に公表した調査によると、全国の18歳以上の関係人口は約2,263万人と推計されています。

この記事では、関係人口の意味や交流人口・定住人口との違い、増やすための取り組みを解説します。後半では、実際の地域の事例や、自治体・事業者が関係人口とつながるためのポイントも紹介します。

関係人口とは?

関係人口とは、移住した「定住人口」でも、観光に来た「交流人口」でもなく、特定の地域に継続的に多様な形で関わる人々のことです。

地域に住んでいなくても、定期的に訪れたり、地域の活動に参加したり、特産品の購入を通じて応援したりする人が含まれます。

たとえば、次のような関わり方があります。

  • 毎年同じ地域を訪れ、住民との交流を続けている
  • 地域の農作業やイベント運営を定期的に手伝っている
  • 特定の地域を継続して応援するため、特産品を購入している
  • 副業やボランティアを通じて地域の課題解決に参加している
  • 住んでいる地域とは別に生活拠点を持ち、二地域居住をしている

関係人口の特徴は、その地域に住んでいるかどうかではなく、地域との関わりが継続していることです。

地域にとっては、住民以外にも地域活動や経済を支える人が増えることにつながります。

一方、関わる側も、自分の生活拠点を変えずに、好きな地域を応援したり、自分の経験やスキルを活かしたりできます。

参考:内閣府「関係人口の創出・拡大」

目次

関係人口と定住人口・交流人口の違い

関係人口と似た言葉に「定住人口」と「交流人口」があります。

3つの違いは、地域に住んでいるかどうかと、地域との関わり方で整理できます。

区分地域との関係具体例
定住人口その地域に住み、生活している地域住民、移住者
交流人口主に観光や仕事などで一時的に訪れる観光客、出張者
関係人口地域外に住みながら、特定の地域と継続的に関わる地域活動の参加者、二地域居住者、継続的な応援者

交流人口との違い

交流人口は、観光や仕事などを目的に地域を訪れる人々を指します。

一方、関係人口は、地域を訪れることに加え、特定の地域と継続的な関係を持っている点が特徴です。

たとえば、観光旅行で一度訪れただけなら交流人口ですが、その後も地域のイベントに参加したり、住民との交流を続けたりすれば、関係人口としての関わりが生まれます。

ただし、訪問回数だけで決まるものではありません。地域を訪れず、オンラインなどで継続的に関わる人も関係人口に含まれます。

定住人口との違い

定住人口は、その地域に生活の拠点がある人々です。

関係人口の場合は、地域への移住を前提としていません。

将来的に移住する人もいますが、移住せずに地域と関わり続けることにも意味があります。

地域の人手不足を補ったり、外部の視点から新しいアイデアを提供したりするなど、さまざまな形で地域を支えられるからです。

関係人口が注目される背景と全国の人数

関係人口が注目されている背景には、人口減少や高齢化による地域の担い手不足があります。

人口が減少すると、地域産業だけでなく、祭りや伝統行事、景観保全、農地の管理など、住民が担ってきた活動を維持することも難しくなります。

そのため、地域に住む人を増やす移住・定住政策に加えて、地域外から継続的に関わる人を増やす取り組みが進められています。

全国の関係人口は約2,263万人

国土交通省が2025年6月27日に公表した「関係人口の実態把握」では、全国の18歳以上の関係人口は約2,263万人、全体の約22%と推計されています。

区分推計人数18歳以上の人口に占める割合
関係人口(訪問系)約1,884万人約18%
関係人口(非訪問系)約379万人約4%
合計約2,263万人約22%

※2023年9〜10月に実施された調査に基づく推計値。2025年6月公表。割合は概数です。

訪問系の関係人口では、地域での飲食や趣味活動などを行う「趣味・消費型」が最も多く、次いで「参加・交流型」「直接寄与型」が続きます。

また、訪問系の関係人口の年間訪問日数を見ると、「2〜7日」が約49%と最も多くなっています。

こうした結果からも、関係人口は必ずしも頻繁に地域へ通う人だけではなく、さまざまな頻度や目的で地域と関わっていることがわかります。

出典:国土交通省「全国の『関係人口』は18歳以上の2割強!」

国も関係人口の創出・拡大を推進している

国は地方創生の取り組みの一つとして、関係人口の創出・拡大を進めています。

2026年度には、地域と関係人口をつなぐ中間支援組織への支援や、自治体の先行事例をもとにした手引きの作成などが施策に位置づけられています。

また、住所地以外の地域と継続的に関わる人を登録する「ふるさと住民登録制度」の創設に向けた検討も進められています。

単に地域を知ってもらうだけでなく、地域と継続的に関わる仕組みをつくることが重視されています。

参考:内閣府「関係省庁における取組」

関係人口の種類と関わり方

関係人口の関わり方は、大きく「訪問系」と「非訪問系」に分けられます。

訪問系|地域を訪れて関わる

訪問系は、特定の地域を定期的・継続的に訪れ、地域との関係を持つ人々です。

関わり方具体例
趣味・消費地域での飲食や買い物、趣味活動
参加・交流地域イベントや体験プログラムへの参加
地域貢献農作業の手伝いやボランティア
仕事地域企業での副業やテレワーク
二地域居住別の地域にも生活・滞在拠点を持つ

観光や体験をきっかけに、地域の人との交流や活動参加へ発展することもあります。

非訪問系|地域を訪れずに関わる

非訪問系は、実際に地域を訪問しなくても、継続的に地域を応援したり、活動に参加したりする人々です。

関わり方具体例
継続的な応援ふるさと納税やクラウドファンディング
地域産品の購入地場産品を継続的に購入する
情報発信SNSなどで特定の地域の情報を発信する
仕事への参加地域の仕事を遠隔で継続的に請け負う
オンライン交流地域住民や団体との交流を続ける

たとえば、遠方に住んでいても、特定の地域の生産者を継続的に応援したり、オンラインで地域の仕事を手伝ったりすることができます。

大切なのは、訪問の有無ではなく、その地域との継続的な関わりです。

なお、単発の観光や買い物、通常の帰省だけで、自動的に関係人口に該当するわけではありません。

参考:国土交通省「関係人口の実態把握」2025年6月・資料2

関係人口を増やすメリット

関係人口が増えることは、地域側だけでなく、関わる人にとってもメリットがあります。

地域側のメリット

1. 地域活動の担い手を増やせる

農作業やイベント運営、景観の保全など、住民だけでは人手が足りない活動に地域外の人が参加することで、負担を分担できる可能性があります。

2. 地域経済を支える人が増える

特産品の継続購入や地域での飲食・宿泊などは、地域内の事業者にとって収益につながる機会になります。

関係人口の増加が必ずしも消費額の増加を意味するわけではありませんが、地域外から継続的な需要を生み出す接点になります。

3. 外部の知識やスキルを活用できる

地域外の人材が副業やボランティアなどで関わることで、地域内だけでは確保しにくい専門知識や新しい視点を取り入れられます。

関わる側のメリット

関係人口になる人にとっては、普段暮らしている場所とは別に、交流できる地域や活動の場が生まれます。

地域の人とのつながりを持ったり、自分の得意分野を活かしたりすることは、新しい経験にもなります。

将来的に移住や二地域居住を検討するきっかけになる場合もありますが、必ずしも移住を目指す必要はありません。

移住することだけを成果とせず、地域との関わりそのものを継続することにも価値があります。

関係人口を創出・拡大する3つの方法

関係人口を増やすには、地域を知ってもらうだけでなく、実際に関わるきっかけと、関係を続ける仕組みが必要です。

1. 地域の魅力や課題を知ってもらう

最初の段階では、地域を知ってもらう接点をつくります。

観光情報や特産品の紹介に加え、地域の暮らし、産業、抱えている課題なども情報発信の対象になります。

地域のSNSやWebサイトを使う場合は、単に魅力を紹介するだけでなく、「誰が、どのような活動をしているのか」が伝わる内容にすると、関わるきっかけを見つけやすくなります。

2. 気軽に参加できる機会を用意する

地域に関心を持った人が、実際に行動できる入口を用意します。

たとえば、農業体験や地域イベント、ボランティア、オンライン交流などが考えられます。

最初から大きな役割を求めるのではなく、短時間の手伝いや単発の体験から参加できるようにすることも有効です。

地域にとって必要な活動と、参加者が関心を持つ内容を結び付けることが重要になります。

3. 継続して関われる仕組みをつくる

一度参加してもらうだけでは、継続的な関係につながるとは限りません。

イベント後の情報提供や、次回の活動案内、参加者同士の交流機会などを用意することで、再び地域と関わるきっかけをつくれます。

会員制度やオンラインコミュニティを活用する方法もありますが、仕組みをつくること自体が目的ではありません。

参加者が継続して関わりたいと思える活動や、地域の人とのつながりを維持することが大切です。

関係人口の成果を測るには?

取り組みを継続するためには、参加人数だけでなく、その後の関わり方も確認する必要があります。

目的指標の例
新しい接点を増やす初回参加者数、登録者数
関係を継続する再訪率、継続参加率
地域経済につなげる継続購入者数、再購入率
地域活動を支える活動参加者数、協力時間
関わりを深める複数活動への参加者数、継続的な協力者数

※上記は施策設計のための指標例であり、国が統一的に定めた関係人口の評価指標ではありません。

人数を増やすことだけでなく、地域が抱える課題に対して、どのような関わりが生まれているかを確認しましょう。

関係人口の創出・拡大に取り組む地域の事例3選

関係人口の増やし方は、地域の課題や資源によって異なります。

ここでは、政府の公表資料で確認できる3つの事例を紹介します。

1. 岐阜県飛騨市|地域の困りごとを手伝う「ヒダスケ!」

岐阜県飛騨市では、地域で困りごとを抱える人と、手伝いたい人をつなぐ「ヒダスケ!-飛騨市の関係案内所」に取り組んでいます。

この仕組みでは、農作業や景観保全、イベント運営など、地域で必要とされている活動に外部の人が参加できます。

農林水産省の「令和6年度 食料・農業・農村白書」によると、2023年度の延べ参加人数は3,000人を超え、そのうち約7割が市外からの参加者でした。

また、農繁期の人手を確保できたことで、一部にはトマトなどの農作物を増産する農家も現れています。

参考になるポイントは、地域の困りごとを、外部の人が参加できる活動として具体化していることです。

観光客として訪れるだけでなく、実際に地域を手伝うことで、住民との新たな関係が生まれます。

出典:農林水産省「令和6年度 食料・農業・農村白書」第7章第8節

2. 茨城県笠間市|酒米田んぼのオーナー制度で地域を応援

茨城県笠間市上郷地区では、地域の自然環境や農業を守る取り組みとして「酒米田んぼのオーナー制度」が実施されています。

参加者は会費を支払うことで、自ら栽培に関わった酒米からつくられるオリジナルの純米酒を受け取れます。

また、田植えや収穫、田んぼの生きものを調べる活動、酒蔵の見学などにも参加できます。

地域の特産品を購入するだけでなく、生産過程を体験し、農業者や地域との関わりを深められることが特徴です。

農林水産省の「令和4年度 食料・農業・農村白書」では、農的関係人口の拡大を目指す取り組みとして紹介されています。

参考になるポイントは、地域産品の購入と体験を組み合わせ、継続して地域を応援できる仕組みにしていることです。

出典:農林水産省「令和4年度 食料・農業・農村白書」第4章第7節

3. 滋賀県高島市|都市部の複業人材と地域の女性をつなぐ

滋賀県高島市では、2025年度の内閣府モデル事業として、都市部などの女性複業人材と地域に暮らす女性をつなぐ「エールプロジェクト」が実施されました。

この取り組みは、地域内外の女性が共に学び、働く機会をつくることで、地域課題の解決や新しい価値の創出を目指すものです。

地域外の人材が持つ経験やスキルを活かし、地域の人々と協働する関係づくりが特徴となっています。

内閣府は、2026年6月に同事業を含む2025年度モデル事業の実施結果概要を公表しています。

参考になるポイントは、観光や消費だけでなく、仕事や専門知識を通じて地域との関係をつくることです。

人材不足などの課題がある地域では、移住せずに関われる働き方も選択肢になります。

出典:内閣府「令和7年度 中間支援組織の提案型モデル事業」

店舗・事業者が関係人口とつながるには?

関係人口の創出は、自治体だけが取り組むものではありません。地域の店舗や生産者、観光事業者なども、地域外の人との関係づくりに関わることができます。

たとえば、旅先で購入した特産品が気に入り、帰宅後も継続して購入する人がいます。また、地域の生産者と交流したことをきっかけに、収穫体験や地域イベントに参加するようになる人もいるでしょう。

こうした関係を育てるためには、次のような取り組みが考えられます。

  • 継続購入の機会をつくる:地域産品を遠方からも購入できるようにする
  • 体験や交流の機会を設ける:生産者との交流、見学、体験イベントなどを企画する
  • 地域の情報を発信する:商品だけでなく、地域の人や活動について伝える
  • 再訪や継続参加につなげる:次回のイベントや地域活動を案内する

ただし、店舗のリピーターや会員が、すべて関係人口に該当するわけではありません。

関係人口は、あくまで特定の地域との継続的な関わりを示す概念です。

単なる商品購入の回数だけでなく、その地域への関心や応援、地域活動への参加などを踏まえて考える必要があります。

店舗や事業者にとっては、商品・サービスを販売するだけでなく、地域を知り、再び訪れたり応援したりするきっかけをつくることが、関係人口との接点になります。

関係人口に関するよくある質問

関係人口にはどのような人が含まれますか?

地域外に住みながら、特定の地域を継続的に訪れたり、地域活動に参加したりする人などが含まれます。

また、地域に行かなくても、継続的な特産品購入やオンライン交流、副業などで関わる人も含まれます。

ふるさと納税をしている人は関係人口ですか?

特定の地域を継続的に応援するためにふるさと納税を行っている人は、関係人口に含まれ得ます。

ただし、返礼品を目的に一度寄付しただけで、必ず関係人口になるわけではありません。地域との継続的な関わりがあるかどうかが重要です。

関係人口を増やすには何から始めればよいですか?

まずは、地域でどのような活動や協力が必要とされているかを把握することが重要です。

そのうえで、地域に関心を持つ人が参加しやすいイベントや体験、ボランティアなどの機会を用意し、継続的な関係につなげていきます。

関係人口を増やせば移住者も増えますか?

関係人口として地域に通ううちに、移住や二地域居住を検討する人もいます。

しかし、関係人口の増加が必ず移住者の増加につながるとは限りません。

移住の有無だけでなく、地域活動への参加や仕事、消費など、地域にどのような関わりが生まれたかを評価することも重要です。

まとめ|地域と継続的につながる人を増やすことが大切

関係人口とは、地域に移住せず、観光による一時的な訪問とも異なる形で、特定の地域に継続的に関わる人々を指します。

関わり方は、地域への訪問やイベント参加だけでなく、特産品の継続購入、ボランティア、副業、オンライン交流などさまざまです。

関係人口を増やすには、地域を知ってもらい、関わるきっかけを用意し、その関係を継続できる仕組みをつくる必要があります。

大切なのは、単に訪問者や参加者の人数を増やすことではなく、地域と人との継続的な関係を育てていくことです。

まずは、地域にどのような課題があり、地域外の人がどのような形で関われるのかを整理することから始めてみましょう。

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